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2017年9月5日

ものを作る

まず作りたいもののコンセプトから、素材を熟考し、最高の製品を作れる方法を吟味する。そして数多くの工程を丁寧に積み上げていく。頭ではわかっていてもその工程には色々な理由で妥協をしていく場合が多々あります。
二十年ほど前に出会ったMaurizio。
当時衝撃的なコレクションを展開してた彼は、噂でいくつかの情報は得ていたものの現在の活動はほぼ不明でした。それがシューズのコレクションを製作し始めたという話が入り、興味はあったものの目にする機会はありませんでした。maurizio_2

ある時、突然浜松に来ると連絡が入りました。いつも唐突に感覚のままに生きている彼らしい再登場でした。

当日珍しく時間通りに浜松に到着した(記憶する限りは時間はあってないようなものだった)彼は、10数年の時をあっという間に縮めて
「How are you?」「It’s been a while.」
その後怒涛のように彼のアイディアを聞かせてくれました。それはコンセプトから世界観まで圧倒される内容でした。言葉で説明するのはとても難しく、彼のコレクションを見ていただくのが一番だと思いますが、彼はものづくりにおいて全くブレていませんでした。聞けば今回のたった一つのカッティング、パターンに対して五年かかったよ、と笑ってました。勉強したよ、と。素材に対するアプローチも感覚的なことだけでなく、論理的にも整合性を求める姿勢。天然の柿渋やインディゴから生まれる色、力織機による風合いの美しさ。
ものづくりはハンドメイドで美しさを追求すること、そのように基本的なことに改めて感動しました。maurizio_1

後日代官山にて彼の展示会を見せてもらいました。美しいの一言。実際に履いてみた靴は本当にフィットし、スタイルも最高にかっこよかったです。美しい素材とカッティング。そして職人的技法。また徹底的にコンセプトにこだわり、最高の製品を彼の顧客へ届けること、本当に基本的なことを最高レベルで実現させる力。特に彼の会話でよく出てきたDevelopment「発展」。彼の新たなものづくりはまさに「発展」でした。大量にものを作ることをベースとした世界に少し距離を置きたいと考えていましたが、彼のものづくりの考え方はもっと深く、ものづくりのあり方といった次元にまで及んでいました。ものづくりに対する熱はさらに火をつけられました。

大量に作られ、買いやすく便利、そういったものとは真逆の価値観かもしれません。素材の中に、ディテイルに美しさを見出す。時間はかかるしコストもかかる。またそんなものづくりに理解を示し、サポートしてくれる人たちの存在も重要です。芸術性の高い製品ではありますが、久々にドキドキするものに出会えた気がします。

彼の美しいシューズのコレクションはしばらくの間代官山のLift etageにて見ることができると思います。ご興味のある方は行ってみてください。

 

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